年下の黒ギャルに泣かされた根暗オタクのセンパイくん。タイプの異なる男女が織りなすラブコメディ。乳首当てゲーム、逆ラッキースケベと基本的には「バカアニメ」の今作だが、意外にもしっかりとした「ボーイミーツガール」描写がある。ヒロインに対するギャップ萌え、バカアニメからきちんとしたラブコメに変わるギャップ。最初こそあまり好きになりづらい作品であるももの、少しづつその印象が変わっていく
『イジらないで、長瀞さん』作中内でも2人の関係性の変化が上手く描かれている。互いの価値を認めて惹かれ合っていく過程が良い
評価『イジらないで、長瀞さん』の魅力を3つ紹介
黒ギャル後輩というアニメでは珍しいキャラ属性
まずメインヒロインである長瀞さんに好感が持てるがどうかで作品の評価が大きく分かれる。というもの1話Aパートで主人公をガンガンにバカにして、からかって泣かせてくるからである。見方によってはイジメに見えるという感想も否定できない。『イジらないで、長瀞さん』ではなく、“イジメないで、長瀞さん”に感じるかもしれない
しかし、1話Bパートまできちんと見ればセンパイが長瀞を拒絶してないことが分かる。元イジメられっ子だったセンパイが、「正直腹は立つけど、そこまで嫌じゃない」と自らの考えを主張している。イジメの対処法として目をそらし心を閉ざしてた少年が。
表情パターンが多いのも長瀞の魅力
私(筆者)は最初、長瀞早瀬というキャラクター像にあまり好感が持てなかった。しかし、回を重ねるごとに魅力に見えていくのが不思議だ
基本的に彼女は明るくノリが軽い子に見える。だけど、本当は根が優しく真面目という二面性も良い。
長瀞さんとセンパイが互いの価値観を認めていく様
黒ギャル後輩と根暗オタクせんぱいのラブコメが良い。基本的にこのアニメは「バカアニメ」寄りだが、意外とまとまっていて深いことも描いてくる
例えば、センパイが苦手意識を持っていた「外の世界」に目を向けるということだったりが描かれている。周りに振り回されながら、あまり乗り気では無かったが、なんだかんだで楽しい思いでとなる構図というものがセンパイの心理と重なっている
長瀞も「センパイの絵や漫画に対する真剣な想い」をきちんと見ている。2人の関係は歯車が噛み合わないことの方が多いが、大事なシーンで互いの想いをくみ取り伝えたいことは最後までちゃんと伝えるということをやっているギャップが良い
2人の関係を見守りイジってくる3人の長瀞フレンズ
イジってくるのは長瀞だけじゃない!長瀞の友達であるガモちゃん、ヨッシー、桜の3人もうるさく絡んでくるのも今作の見どころだ。普段センパイを一方的にイジっている長瀞さんが逆にイジられるというのも新しさがあって良し
ガモちゃんは完全に確信犯で長瀞の恋心を分かってて弄ぶ強者感がある。この娘が居るおかげで、先輩に対して素直になれない長瀞が恥ずかしながら“センパイは自分のモノ”とポジションを取る様を引き出してくれる。長瀞以上にザ・ギャルという感じだが彼女なりの優しさ、恋心の応援というものが垣間見れる
ヨッシーはガモちゃんと長瀞さんがバチバチにやり合ってる中で輝くキャラだ。こういう手のひら返しキャラというか…明確な主張が無く他キャラの合いの手を入れることで喧嘩シーンではなく、コメディシーンとして面白い方向に導いている
桜はゆるふわ系のギャルで先輩をイジる。無自覚で思わせぶりな態度はある意味ガモちゃんよりたちが悪いかもw
アニメ『イジらないで、長瀞さん』感想
基本的な印象は「バカアニメ」 だ。もう、なんなんすか「乳首当てゲーム」ってw そのくせして演出は面白く細かな工夫がされていている。例えば、この乳首当てゲームでは、乳首を2つの的に見立てて長瀞が弓道で射貫くという演出がされている
長瀞がセンパイに自己アピールする際も他作品の他ヒロインときちんと差別化している。「センパイがその気ならヤらせてあげても良いっすよ」とドストレートなセリフを言いセンパイをからかっている。いざセリフを言ったものの長瀞も恥ずかしがっているのも良い
タイトル通り長瀞がセンパイをイジり倒すというのが基本だが、イジられている長瀞さんもなかなか魅力的だ。攻撃力は高いが防御力が低いヒロインと感じる。ありふれたヒロイン像ではなく、きちんと一人の少女としての個を描いている
残念に感じた所「恋愛」描写。
それなりに満足した作品だが「恋愛」描写はビミョーなのかなと感じた。ラブコメのコメディ部分は長瀞のキャラクター性、センパイの反応、その2人の関係を応援・邪魔両方やる長瀞フレンズの存在でオリジナル性を出していた
しかし、長瀞がなぜセンパイにからんできたのかが分かりづらい。なぜセンパイを気にかけるのか? いつ、どこで恋愛感情を抱いていたのが見えない。最初…つまり落ちた漫画の原稿を拾ったから? 少なくとも3話Bパートでは恋心があったように見える。友人のヨッシーがセンパイの頭を触ろうとしたとき、嫌悪感を出し手をはたいている
センパイにひかれた理由はおそらく、長瀞の周りの男が流行にしか乗れない“つまんねー奴ら”だったからだ。対してセンパイは自分の好きな事…絵と漫画を描くことを真剣に取り組んでいるからである。確かにセンパイは自身をモデルにした妄想漫画を描いていて、長瀞が口にした通り痛々しくてキモイ奴だ。だが、同時に表面だけカッコよくしようとしている“つまんねー奴ら”という悪いカテゴリーからは外れた
恋愛描写は下手。代わりに「ボーイミーツガール」的な上手さはある
「恋愛心理」の上手さこそなかったものの、タイプの違う男女が互いの価値観を認め合うという「ボーイミーツガール」的な上手さはあったと感じる。特に印象に残っているシーンは第7話の射的シーンでのセリフだ
誰かと行きたい所あるなら…自分から誘ってみても良いんじゃないっすか?
このセリフが12話(最終話)ラストの後夜祭ライブを誘うことにつながるんだよな~。内気で長瀞に振り回されていたセンパイが。大きくは変わってないものの、どことなく表情が明るくなっている
あと印象に残っているセリフと言えば、11話冒頭の先輩の台詞だ。部活存続を賭けて部長と対決することになったセンパイだが部長を悪く言う4人に対して向けた言葉だ。「どう考えても悪いのは…“俺ら”なんだからさ」と言っている
“お前ら”ではなく、“俺ら”というのが何とも深い。あんなにも苦手なタイプの女子だったのにも関わらず仲間意識が芽生えている
長瀞も魅力的なヒロインだが、センパイの言動の細かな変化も見所の1つだ
まとめ:バカアニメだがしっかりとしたラブコメ
黒ギャル後輩と根暗オタクというタイプが大きく異なる2人の関係を描く作品。長瀞というキャラは万人が可愛いとは決して言えないキャラだ。強い攻撃性を持っており人によっては不快感すら覚えるキャラだろう
しかし、長瀞の本質は至って真面目であり、センパイが本当に嫌がることはしない。仮にやっちゃったとしても素直に謝れる常識も持ち合わせている。最初あまり好きになれなかった彼女にどんどん萌えていく不思議もある
コメディ多めで基本的にはアホアニメだが、意外に男女が惹かれ合う様をきちんとやっている。価値観の認め合い・交換というものを描いている
最後まで読んでくれてありがとう。
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