『メイドインアビス』とは深い巨大な縦穴に潜っていく冒険ダークファンタジーである。2022年にはTV版2期となる『烈日の黄金郷(れつじつのおうごんきょう)』の放送が決定しているため、ますますの盛り上がりが注目されている作品だ
今回は筆者の独断と偏見でメイアビ1期の感想/評価をしていく
メイドインアビス(メイアビ)の3つのおすすめポイント
- 美しく圧倒的な世界観
- ファンタジーでありながらリアルな描写
- 未知であふれるワクワク感
美しく圧倒的な世界観
作中から1900年前に発見された巨大な縦穴「アビス」直径1kmを超え、少なくとも20kmもの深さがある。ちなみに地球上で最も深い所が太平洋にあるチャレンジャー海淵で10.9kmだ。アビスはその2倍以上あるというから驚きだ
アビスには地上に無い特殊な動物や植物が多く存在している。地上の常識は一切通用せずアビスの最深を目指す冒険家たちの前に立ちふさがる
さらに、アビス内部では力場の影響が働いており、地表から観測出来ないというやっかいな性質を持っている。そのためアビス攻略には実際に現地におもむき肌で感じる必要がある
しかし、この現地に行くというのも簡単なことではない。重力の向きが逆になっている「逆さ森」、高さ4400mの断崖絶壁 この地形的な難易度に加えて、襲い掛かってくるモンスターはもちろん「上昇負荷」というものがアビスを秘境とたらしめている
最悪、行く・下る“だけ”なら簡単なことかもしれないが、登って帰ることは歴戦の冒険家ですら難しいものとなっている。比較的浅い所なら軽度の目まい・嘔吐で済むが、深い所になればなるほど「上昇負荷」は大きくなり確実な死をもたらす
ファンタジーでありながらリアルな描写
この作品は「生命の素晴らしさ」「命の循環」「死と生の生々しさ」を描いている。原生生物を狩りその肉を食するシーンがある。そのとき、主人公の12歳の少女:リコが発したセリフが印象的だった。「死ぬのは悲しいけど、私の血肉となって力になる!」
12歳ながら“生きる”ということはどういうことか?というものをシンプルな言葉で本質を突いている。何気ないシーンだったため初見ではあまり印象が残っていなかったが、2周目ではかなり重要なことを言っているなと感じた
他に印象的なシーンといえば、とある回の「医療行為」だろう。詳しくはネタバレになっちゃうのであまり書かないが、怪我の対処法が適切だ。例えばアニメにおける医療行為の代表といえば、人工呼吸が真っ先にあげれる
だが、大抵のアニメは医療行為ということを忘れてキャラが過剰に恥ずかしがったり、特定のキャラとの「既成事実」作りへと何かとネタに走ることがまあ多いこと。真面目に医療行為を見せるアニメは無いのかよと腹を立ててしまう
個人的に評価し好きなアニメでもある「凪のあすから14話」「フルメタル・パニック? ふもっふ 8話」「魔法少女特殊戦あすか 8話」ですら若干ネタに走ったり寒かったりする。作品全体としてはむしろ良いアニメなのにね
良かった医療行為といえば、「アルドノア・ゼロ」10話の伊奈帆がアセイラム姫にやる人工呼吸くらいしかないと思っている
さて、『メイドインアビス』の話に戻るが今作は全アニメでも屈指の医療を行っているといっても差し支えないだろう。麻酔が無い中でどこを生かし、どこを切り捨てるのか? 並々ならぬ緊張感が走る中でそれでも冷静に行動する。舌をかませないように枝を咥えさせるとか凄いよね
未知であふれるワクワク感
「アビス」自体の謎に加えて、リコを蛇型の巨大モンスターから救ったロボット少年:レグの存在が本当に謎だ。ロボットにしては妙に人間っぽい皮膚であり、電気/食事どちらからでもエネルギーを取り入れることが出来る
皮膚はどんなナイフでひっかいても傷1つ付かず、約40m伸びる両腕、手のひらから繰り出される「火葬砲(インシネレーター)」といった強靭な肉体で強力な能力を有している
ある日、リコの母親であり伝説の冒険家:ライザからの手紙が届く。そこに書かれていたことは文献に載っていない見たことも謎の生物や遺物に加えて、レグに非情に似たものがあった…
記憶を無くしているレグは自身の正体を知るために、リコは母親と再会することを目的にアビスの底へと目指す
1周目は嫌いな印象だったが、2周目を受け入れている自分に気付く
正直、私はこの手の完結していない作品が嫌いだ。最大の謎であるレグの正体や、ライザの行方が回収されないのはどうもモヤモヤする。あと個人的に当時ファンタジーが嫌いだったし、同時期のオリジナルアニメ『プリ ンセス・プリンシパル』という優れた作品があったというの影響しているかもしれない
初見視聴から約1年後、2週目を見た。何気ない食事シーンで見せてくる重要なメッセージ性「命の循環」を伝えようとしている。年齢12歳の少年少女による物凄く簡単な言葉なのに核を分かっている発言。非日常的な環境の中で「生きる」「殺す」といった日常的な描写をしていることは難しいのによく出来ている
そして、1人の人間がどれだけ多くの人から支えられていて愛されているのかという点も描いていたのも良いと思う
2022年にはTV版第2期となる『烈日の黄金郷』の放送も決まっている。おそらく第2期でも多くの謎を残してモヤモヤ感があると思うが、この不明さを考察に変えて楽しみたい。
以下の動画には1期,劇場版 深き魂の黎明の一部ネタバレが含まれています
評価 ★4満点
完結してない作品で★4を取れるのは、なかなか良いと思う。26話構成で見たかったっていうのが本音かなー。仮に完結済みで描いたのならば★4+も付けていた
いずれにしても良い作品なので見てもらいたいアニメの1つである。多少グロいシーンがあるため人によっては「残酷」と感じてしまうかもしれないが、絶望の中にある「希望」や「憧れ」といったものがあり冒険といったものを体現している
この世に死ほど平等なものはない。どんな生き物にも必ず死は訪れる。
死は公平にして絶対的な理である。常に我々の傍らにある。
だが、人は知恵と勇気を駆使して、もがき、あがき、最後まで生にしがみつく。
我々は、この不公平で不平等な世界が、好きなのだ。
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